車の中でも、家庭用電気製品(交流100V)を使いたい

 自動車のバッテリーは直流の12Vです。これに対して、家庭用の電気製品は交流の100Vです。車の中でも家庭用電気製品を使おうとすると、特別の電源装置が必要になります。そのためのバッテリーをサブバッテリーといいます。

 左の写真は、Caos という、とても評判の高い優れもののバッテリーです。サブバッテリーには、普通「ディープサイクルバッテリー」というものが使われます。でも、ディープサイクルバッテリーは高いので、ここでは普通のエンジン始動用のバッテリーすなわち「スターターバッテリー」を使用しています。

 また、ディープサイクルバッテリーは少量の電流を長時間取り出すのに適したバッテリーですが、消費電力が1300Wもある電子レンジやドライヤーを使うときには、直流12Vで100Aを超える電流が必要となります。このような大電流を取り出すためには、スターターバッテリーの方が優れているのです。

インバーターは1500WまでOK

 写真の右側に並んでいるのがバッテリー。上から見ています。5時間率容量が36Ahという規格のものを全部で6個、すべて並列につないでいます。バッテリーの左にあるのがインバーターと呼ばれる機械で、これが直流12Vを交流100Vに変換してくれます。このインバーターは最大1500Wを取り出すことができます。

 バッテリーとインバーターをつないで、その全体をベッドの左側の下におさめています。バッテリー1個の質量は10kgほどありますから、全部で60㎏にもなります。大変な重さです。

電源装置一式が集まっています

 左の黒っぽいパネルが、インバーターのリモコンです。インバーターのON/OFFの操作だけでなく、使用中の電力(1500Wを100%として、割合で表示されます)や電源装置全体の状況を把握するのにとても便利です。

 その下に小さく見えるのは、サブバッテリーの電圧を示すデジタル電圧計です。小数第2位まで表示していますが、ちょっと誤差があるようです。車に乗るたびにこの電圧を見て、サブバッテリーの充電状態をチェックしています。

 さらにその下に交流100Vを取り出すコンセントが2口あります。このちょうど裏側にサブバッテリーがあります。

 上の写真の一番下の床の部分から出ている赤と黒のコードが、走行充電のためにメインバッテリー(エンジンを始動させたりエアコンを動かしたりするための、車に元々取り付けられているバッテリー)からの電気を引っ張ってきているところです。この部分は、次のように工事しました。

 まず、左の写真のように運転席と助手席の間のセンターテーブルを外し、その後ろのカバーをはがします。メインバッテリーは助手席の下にありますから、その後ろのあたりにコードを通す穴をあけることにしました。


 一度に大きな穴をあけるのは危険なので、細いドリルで何か所にも穴をあけ、真ん中を金づちでたたいて大きな穴にします(写真上(左))。その後、できるだけきれいな円形になるようにやすりで削り(写真上(中))、ゴムブッシュをつけて電気コードを通します(写真上(右))。この裏側で、2本のコード(赤と黒)がメインバッテリーにつながっています。

 このコードを、後部座席の下を通して電源装置一式のあるところまで引っ張っていき、次に説明するサブバッテリーチャージャーにつなぎます。

 左の写真の装置は、エンジンがかかっているときに、その発電機で生み出された電気の一部をサブバッテリーに充電するための「サブバッテリーチャージャー(走行充電器)」と呼ばれるものです。エンジンを始動するためのメインバッテリーの電圧を監視しながら、メインバッテリーの電圧がある一定の値以上のときだけサブバッテリーに充電するという働きをするものです。この装置のおかげで、「メインバッテリーの電圧が下がってしまってエンジンが始動できない」などというトラブルが起こらなくなります。

  なお、上下逆さまに取り付けているのは、配線コードを接続する際の都合を考えてのことです。